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子どもに保険はかけるべきか【福岡のFPが解説】

保険屋さんのタケモリです。

今回は、「こどもの保険は必要か、不要か」というテーマでお話します。

結論からいうと、ガチで不要です。

でも「子どものため」と言われてなんとなく保険をかけている方はいらっしゃるのではないでしょうか。

研究によると、「子どものため」というフレーズがついたら、親は最大30%高い金額でも購入する傾向があることがわかっています。

ちなみに、結婚式のときによくいわれる、「一生に一度」とかもそういう効果があるんじゃないのかなーと思っています。

実際、一生に一度だからなんなんですか?

いまこの瞬間だって一度しかないですし、一生に一度だからってより高い金額を選択する理由にはなりません。

こういうのって、売り手からしたらかんたんなセールストークで使い勝手がいいですよね。

仮に上っ面だけでこんなセールストークをされたとしたら、本当に自分や子どものためになるのか、冷静な判断が必要だと思います。

保険に話を戻すと、日本ほど子ども向けの保険が盛んな国は珍しいです。

極端な話、子どもの医療費は完全無料!

と国が保障してくれるのであれば、民間の保険に入る必要なんて1ミリもありません。

ということで、なぜ子どもに民間の保険をかけなくても大丈夫と僕が主張しているのかを解説していきます。

子どもの病気は家計破綻につながるリスクにはなりません。

家計におけるリスクの例を挙げると、

  • 世帯主の収入喪失
  • 住宅ローンなどの債務が払えなくなる
  • 医療費の突発的負担

などがあります。

保険なんか入らなくてい!と主張する人でも、「世帯主の収入保障保険は入りましょうと唱えるくらいです。

住宅ローンが払えなくなる可能性にそなえて、ほとんどの人は団信に入っていますし、医療費をまかなうために、民間の医療保険やがん保険に入る人も少なくないと思います。

数百万、数千万単位で損出がでたら、家計に与えるダメージが大きいから保険に入ります。

でも、こどもの医療費はどうでしょうか?

こどもにかかる医療費の自己負担額は、高くてもせいぜい3万円程度しかかかりません。

年齢(歳)1人あたりの患者負担額(円)
0~428,886
5~919,599
10~1415,287
14~1912,247

参照 厚生労働省 子どもの医療の費用負担の状況

3万円で家計って破綻しますか?

しないですよね。

「でも本当にこんなに安いのかな」

「なんでこんなに安いの?」

と思われたかもしれません。

次に、なんで子どもの医療費はこんなに安く済むかを解説します。

子どもの医療費が安く済む理由は、助成制度が手厚いからです。

助成制度は、大きく2種類あります。

  • 国の助成制度
  • 市町村の助成制度

国の助成制度

国の助成制度のおかげで、小学校入学前の子どもは2割負担で病院に行くことができます。

小学生以上は、大人と同じ3割負担です。

国の助成制度なんて仰々しい言い方をしてますが、健康保険証を見せると3割負担になるアレのことです。

子どもが2歳とか3歳だったら、2割負担だからもともと安いという話ですが、実際はもっと安いです。

なぜなら、市町村の助成制度があるからです。

市町村の助成制度

例えば、乳幼児医療費助成制度というものがあります。

福岡市であれば、子どもの入院費はなんと無料です。

0歳から18歳まで入院費が無料になるなんて、めちゃくちゃいいですよね。

それに、通院に関しても月の自己負担は500円ですよ。

ほぼタダみたいなものです。笑

参照 福岡市 子どもの医療費助成制度

具体例で福岡市を挙げましたが、詳細は自治体によって違うことには注意が必要です。

一応、次の2点は注意しておいた方がいいかもしれません。

所得制限

「年収〇〇万円以上の人は制度を利用できませんよ」

みたいな感じで、一定の所得を超えたら対象外になる自治体があります。

制度の移り変わり

年々制度は変わっていく可能性があります。

制度が改善されるか、改悪されるかは不明なので、ご自身の地域の細かい情報は調べなければわかりません。

『○○県××市 子ども医療費』

とかで検索すればでてきます。

このような注意点を踏まえる必要はありますが、いまの時点では、ほぼ全国の自治体で就学前までの医療費は無料になっています。

福岡市のように、18歳まで無償にしてくれる自治体もあるので気になる方はチェックしてみてください。

これだけの保障があるので、子どもの医療費が原因で破綻する可能性は極めて低いといえます。

ここまで、医療費の自己負担額についてお話してきましたが、そもそも子どもが入院する可能性は低いです。

実際のデータで説明します。

厚生労働省の平成23年患者調査から、子どもが病院に入院する確率を見てみます。

年齢(歳)入院率(%)
0~41.0
5~90.2
10~140.1
14~190.1

まあ、低いですよね。

実際に病院にいくとわかりますが、ほとんどが高齢者です。

僕は体もメンタルも弱いのでたまに入院しますが、何度もその光景を目の当たりにしてきました。

同世代とか年下の人は、本当にいません。

仮にこどもに医療保険をかけていて、月5,000円の民間の医療保険に入っていたとします。

この場合、最低でも高校を卒業する18歳までは、親が保険料を払ってあげるケースが多いです。

そうすると、合計で約100万円の保険料を支払うことになります。

こういう話につきものですが、保険をかけずに資産運用をしたとしましょう。

仮に年利5%で回ったとしたら、約70万円の含み益がでます。

利益に対しては、通常であれば利益の20%は税金で取られますが、いまはNISAがあります。

NISAで運用すれば、所得税はかからないわけです。

そう考えると、そんなに大した額ではなくても有効に活用できた方が良いかもしれないですね。

子どもに保険をかけるのと資産運用をするのは、どちらが子どものためになるでしょうか?

そもそも子どものためというのは、教育だったり習い事だったり、将来の可能性を広げてあげたいという想いですよね。

もしかしたら、子どもに民間の医療保険をかけることで無駄な出費を増やし、逆に選択肢を狭めているかもしれません。

そうであれば、やりたいことと反対のことをやっています。

やっぱり、子どものためというフレーズは刺さりやすいです。

変なことは言われてないっぽいからすんなり受け入れやすいですし、スルーしたら罪悪感すら覚えてしまうかもしれません。

優しい人って、営業マンからどう思われるかとか考えてしまいますよね。

「ここで断ったらひどい親だと思われないかな?」とか。

でもそんなこと考える必要はないですからね。

本当に子どものためになるのは何なのかを考えてください。

子どもにかける保険を検討してもいいケースは4つあります持病がある

  • 遺伝病がある可能性が高い
  • 子どもが複数いる
  • ケガをしたときの保険
  • ケガをさせてしまったときの保険

それぞれお伝えします。

家族に遺伝的な病気があって不安だから、保険に入っておこうというのはアリだと思います。

それでも、医療費はほとんどかかりません。

通院費や入院時の食費など、医療費以外の費用も多少はありますが、おそらく保険に入る目的はそのような費用のためではありません。

どちらかというと、子どもの将来の医療費を軽くしてあげるためです。

将来的に本人が継続してその病気と向き合っていかなければならないなら、子どものための保険になり得ます。

「持病があるとわかった」

となってからでは、保険に入れない可能性が高いので、あらかじめ持病のリスクを考えておく必要があります。

三つ子や双子など、同時に医療費がかかりそうで、なおかつ自治体からの助成が限定的という状況になるのであれば、保険を検討してもいいと思います。

そんな状況はあまりないとは思いますけど。

そもそも、助成が限定的ということは、それなりに所得のある方の可能性が高いです。

しっかり貯金ができていたら、医療費を保険ではなく貯金から取り崩すことができるので、ぜんぜん問題ないです。

ケガをしたときの保険も、家計が破綻するかという観点からはほぼ必要ありません。

ただ、ケガをしたときの傷害保険に入っておきたいという方はけっこういらっしゃいます。

ここまでお話してきた内容は、「病気になったときの保険」です。

「ケガをしたときの保険」と「病気になったときの保険」は、根本的に種類が異なることは、一応お伝えしておきます。

傷害保険は病気ではなく、ケガをしたときの保険なので、お金がもらえる可能性は比較的高いです。

また家族で保険を1本化することができますし、保険料はそこまで高額になることはありません。

だから入っておきたいという方がいるのかと思っています。

特に、わんぱくな男の子がいるご家庭とかは心配になるんですかね。

ケガをさせてしまったときの保険は必須です。

このようなときに使う保険を個人賠償責任保険といいます。

通称 個賠(コバイ)です。

この個賠の保障範囲は幅広くて、例えばこのようなときに使えます。

日常生活の中で、他人に賠償責任が生じた際につかえる保険です。

年間2,000円くらいで入れるので、よければ入っておいてください。

なぜ子どもに民間の保険をかけなくても大丈夫なのかを解説しました。

子どもの病気はリスクではありません。

公的保障が充実しているのでほとんどお金はかからないからです。

医療費助成制度を活用すれば、自治体によっては18歳までの医療費は無料になるところもあります。

子どもにかける保険は機会損出になるかもしれません。

本当に子どものためになるかを考えたときに、保険が最適な選択肢になるとは限りません。

いまはNISAがありますし、投資がしやすい環境にあります。

リスク・リターンを考えてお金を有意義に使いましょう。

最後に、保険を検討しても良い場合についてお話しましたが、ほとんどの場合で子どもにかける保険は不要です。

生命保険ではありませんが、個人賠償責任保険には入っておくことをオススメします。

最後までご覧いただき、ありがとうございました!

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