保険屋さんのタケモリです。
巷で噂の「変額保険」という保険を、聞いたことはあるでしょうか?
カンタンにいうと、保険版NISAみたいなものです。
支払った保険料を、運用に回しながら保険をかけるしくみになっています。
保険版NISAといいましたが、さすがに都合よく言い過ぎなことは否めません。
NISAは受け取るときに利益は非課税ですが、変額保険は一時所得がかかってきます。
出口ひとつとっても違ってくるわけです。
細かいことは説明せずに、
「NISAに投資しながら保険をかけているようなものです」
「NISAって口座開設するのめんどくさくないですか?」
「保険だったら加入するだけで今日から運用できますよ!」
みたいに説明する営業も中にはいます。
完全に投資初心者を狙った営業ですね。
たしかに手っ取り早く売れるかもしれません。
変額保険は賛否両論ありますが、基本的には否定派の方が多いと思います。
変額保険がもし人だったら、精神疾患になるレベルで非難されてます。
否定派の意見は、「保険は保険」、「投資は投資」でわけるべきで、変額保険は中途半端というものです。
【否定派の声】
保険なの?
投資なの?
どっちなの?
目的別で運用したほうがよくない?
保険だからその分NISAより運用コストがかかるし、投資性があるから元本割れするリスクがあるじゃん。
もし保障が必要なら、掛け捨て保険の方がいいよね。
一方でぼくの意見はこうです。
「変額保険は保障機能をもちつつ、NISAよりお金を増やせます」
現に変額保険を契約している人はたくさんいるし、そういう方たちに自分は間違ってないと確認してもらえると幸いです。
ということで今回は、投資よりお金が増える変額保険について解説します。
なぜ投資よりお金が増えるのか
「なに馬鹿なこと言ってんだ。」
「NISAの方が儲かるに決まってんだろ!」
とうご意見はごもっともです。
普通に考えたらNISAの方が儲かります。
ではなぜ、投資より変額保険の方がお金が増えるという見解になるのか、結論からお伝えします。
変額保険は保障がストッパーになって解約されづらいからです。
どういう意味かこれから解説しますが、もしかしたら「NISAってなに?」
という方がいるかもしれないので、NISAについてカンタンに説明します。
NISAと税金
NISAとは、少額投資非課税制度のことです。
余計わかんなくなりましたね。笑
ふつうは、儲けたお金には所得税がかかります。
けどNISAをつかえば、投資で出た利益に税金がかかりません。
通常であれば20.315%の税金がかかるところを、非課税にできます。
100万円の儲けが出たら、本来は約20万円が課税されるけど、それを非課税にできる。
そんなイメージです。
利益が大きくなればなるほど、非課税になる金額も増えるのでありがたい制度です。
それでは本題に戻ります。
保障がストッパーになるとは
変額保険は保障がストッパーになって解約されづらいと言われても、いまいちピンとこないかもしれません。
初心者が守るべき投資の基本は、
- 長期
- 分散
- 積立
この3点です。
「それくらい知ってるよー」
という方も多いかもしれませんが、知っているのとできるのは、ドラゴンボールZとマジンガーZくらい違います。
日本人特有かどうかは知りませんが、長期投資は苦手とされる傾向があります。
2024年はNISAがめちゃくちゃ盛り上がっていた年です。
NISAと名前を出せばセミナーに申し込みが殺到するほどです。
長期投資がどうも難しいとわかる、おもしろいデータがありました。
日本経済新聞によると、2024年のNISAでの購入額は26兆円あったのに対し、同じ期間に13.7兆円の売却があったとされています。
いまからNISAが盛り上がりを見せるというところで、半分以上が売却されてたんです。
長期で投資していた方が有利なのに、なんでこんなにも売却されてしまうのでしょうか?
いろいろと要因があると思いますが、個人的にはこの2点が大きいのではないかと思っています。
- 短期的な利益を優先すること
- 下落相場でのマインドセットが不十分
利益が出たら欲しくなるのは当然といえば当然です。
人にはよりますが、投資信託は3年くらいで解約されることが多いみたいです。
たとえば、今月100万円の利益が出ても、翌月になると50万円になっていたらどうですか?
不安や後悔や焦りがあると思います。
でも翌月になると、また利益が100万円に戻っていたとしたら、ホッとしませんか?
ここで利益を確定させると、確実に100万円が手に入ります。
「じゃあちょっと、一旦ここで利確しとこ」
と、なってもおかしくはないです。
これは僕の体験談なんですけど、NISAが始まった当初、特に目的はなくインデックスファンドで積立をしていました。
かなり少額ではあるんですけどね。
それで、1年弱で10万円くらいの利益が出ました。
でもちょうどそのとき旅行の予定があって、利益はぜんぶ旅行の資金にしました。
本来、FPとしては完全にNGです。
目的をもって、長期・分散・積立投資をすることが大事ですよ!
とか言ってもまったく説得力がないです。笑
目的もなく短期投資をしていたことになりますからね。
でも一応、NISAをやめた違う理由もありました。
NISAはもともとイギリスの制度で、それを日本も取り入れ始めたという背景があります。
誰とはいいませんが、当時はいわゆる増税メガネが矢面に立ってNISAを推進をしていました。
なんの反骨精神かはわからないですけど、なんか嫌だなって思ったんですよね。
誤解がないように言っておくと、NISA自体はめちゃくちゃいい制度ですよ!
ここまで、投資は途中でやめてしまいがちになるという話をしてきました。
でも変額保険は、投資とは違います。
あくまでも「保険」です。
株価が下がっても、保障は一定に保たれます。
保障が必要で保険に入っているので、なにか特別な理由がない限りは契約を継続します。
結果として、長期・分散・積立が実現しやすいというわけです。
変額保険に入る目的
変額保険が中途半端だといわれる理由は、すごくよくわかります。
一度、この中途半端保険に入る目的を整理します。
- 死亡保障の必要性
- 税制の優遇
- 資産形成の手段
それぞれ解説します。
死亡保障の必要性
たとえば、葬式代やお墓代などです。
遺族の生活資金を変額保険で対応するのはちょっと大変かもしれません。
月々の保険料が高額になります。
それでも保険料が払えるし、入りたいというなら否定はしません。
寿貧乏ならぬ、保険貧乏になるのは最悪なのでやめましょう。
税制の優遇
保険と相続は、ロック・リーと体術くらい相性がいいです。
保険において、500万円×法定相続人の数は非課税という言葉は、けっこうな頻度で出てきます。
なんとなく聞いたことがある人も少なくないのではないでしょうか。
相続税がかかる世帯であれば非課税のメリットがありますが、そもそもかからなければ関係ない話です。
一方で、ほぼどんな人でも税金面でメリットがある税制措置もあります。
生命保険料控除です。
変額保険であれば、最大で4万円の非課税枠を使うことができます。
こう言われると聞こえはいいかもしれませんが、ぶっちゃけ大したことはないです。
年収500万円の社員なら、手取りにして年間1万円程度のメリットにしかなりません。
控除と手取りはぜんぜん違いますからね。
資産形成の手段
資産形成の手段として保険がつかえる理由は、良くも悪くも強制的に貯蓄されていくからです。
貯金と違って、気軽に口座のお金を現金化できないことはデメリットです。
資金の流動性が悪くなりますからね。
メリットは、長期・分散・積立がしやすい環境が醸成されることです。
分散・積立はどの投資信託でもできますが、長期投資がしやすくなるのはひとつのアドバンテージです。
それと、資産形成において絶対に外せない手段は貯金です。
たしかに貯金をするだけでも資産形成はできますが、それだけでは物価上昇のリスクを回避できません。
資産形成の手段が貯金だけだと、リスクになり得るということです。
昔は100円で買えたものでも、いまは150円とか200円とかになっている時代です。
昔から収入がほとんど変わっていないとしたら、自由に使えるお金が少なくなっているわけなので、収入が減っているのと一緒です。
少し前はそんな物価上昇のリスクに備えて、ドル建ての金融商品が積極的に買われていたことがありました。
でもいまはドル建ては微妙です。
円高のときにたくさんドルを買って、売るときは円安が理想ですが、いまはそれが難しいからです。
ちなみに、ドル建ての金融商品は、
- ドル建て投資信託
- ドル建て債権
- ドル建て預金
などがあります。
いまあえて、ドル建ての商品を選択する必要があるからは疑問符がつきます。
少し落ち着きはしたといっても、はちゃめちゃに円安の現状です。
はちゃめちゃが押し寄せてきてます。
カンタンにいうと、ドルを安く買うのが難しいんですよね。
物価と同じで、昔は1ドルを100円で交換できていましたが、いまは1ドルが140円とか150円します。
昔からドル建てで運用してて、いまそれを解約するならわかりますが、あえてこれからドル建てを始める理由がなにかあるなら教えてほしいくらいです。
変額保険を資産形成の手段としてつかえるという話をしましたが、具体的には例えば、
- 退職金
- 老後資金
- 教育資金
などがあります。
退職金代わりに一括で受け取ることもできるし、年金形式で受け取ることもできます。
教育資金に活用したいのであれば、運用期間が比較的短くなるかもしれないので、それを踏まえた計画が必要ですね。
もっと具体的に変額保険のことについて説明するのは、また別の機会にします。
理由は、めんどくs
まとめ
今回は、変額保険についてお話しました。
なぜ投資より増えるという見解になるのかを一言でいうと、保障がストッパーになって解約されづらいからです。
ふつうに運用する限りは、投資に回した方がお金が増える可能性は高いことに間違いはありません。
ただし、利益の誘惑に耐えられればの話です。
短期で利益が出ていたらほしくなるし、どんな状況になったとしても株を持ち続けるのは、思っているより難しいものです。
変額保険は、あくまでも保険なので保障ありきで加入の目的を整理しましょう。
そのうえで、資産形成の手段のひとつとして、選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
いまは貯金をしておけば失敗しない時代ではなくなりました。
物価は上がるけど賃金は上がらないということは、貯金が目減りしているのと同じです。
資産形成の手段や保険の種類はたくさんありますが、変額保険について少しでも理解を深めるお役に立てていたら幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうござました!