「セミナーをやれ」
「自分を売り込め」──。
こんなアドバイスを聞くたびに、心の中で「それができたら苦労しないよ」と思ってしまう。
営業手法の本を読めば、伝説的な成功事例がずらりと並ぶ。
でも、実際に行動に移せる人はほんの一握り。
難関資格を持っていても集客できない人だっている。
それほど「お客さんを集める」という行為は難しいわけだ。
例えば保険のように、自分の商品ではなく他社の商品を売る仕事は、差別化が難しい。
だから「自分を売り込め」という教えが生まれる。
高い歩合には理由がある。
誰でもできることではないからだ。
でも、ちょっと待ってほしい。
「自分を売り込んで成果を出せる人」は、非常に魅力的。
だから自分を売り込める。
でもそれは、選ばれた一部の人だけができることでは?
カリスマ性や人としての魅力が備わってることが前提。
自分を売り込むというのは、そんな特別な才能を持っている人だけが通用する戦い方なのだ。
もし簡単にできて高収入が得られるなら、誰もサラリーマンなんてやらない。
でも、一般的な企業で働く社員たちに「自分を売り込め」と言ったとき、何人が実行できるだろうか?
ほとんど実行できる人はいないはずだ。
そんな抽象的な指示を、具体的な行動に落とし込むのはむずかしい。
「自分を売り込め」という教えは、時として弊害にすらなる。
そもそもよくわかんないんだし。
凡人には凡人の戦い方がある。
問題は、会社として、どう戦略を立てて仕組み化するかではないだろうか。
なぜ「自分を売り込め」は機能しないのか
「自分を売り込め」というアドバイスが機能しない理由は、シンプルだ。
再現性がないから。
カリスマ的な営業マンが成功した手法は、あくまでその人だから成功した手法。
同じことを凡人がやっても、同じ結果は出ない。
むしろ、空回りして疲弊するだけ。
さらに言えば、見込み客を探すことこそが最大の難関。
これはどんな仕事でも同じ。
商品が良いとか、トークが上手いとか、そんなことよりも前に、そもそも話を聞いてくれる人をどう見つけるかが最大の壁なのだ。
個人の魅力やセンスに頼る方法では、組織として安定的に成果を出すことはできない。
企業が求めるべきは、「誰がやっても一定の成果が出る仕組み」だ。
そう考えて、今ぼくがやっていることはいくつかある。
ただ、それをこのタイミングで書いたとしても、価値はない。
成果を出してから言えって話だから。
今回伝えたいのは、個人に任せるんじゃなくてチームで考えましょうよってこと。
人によって得手不得手はあるんだから。

